帰化のためのブラジル国籍法
ブラジル連邦共和国における国籍法と帰化
1.ブラジル国籍法と日本の国籍法
日本では、帰化(日本国籍取得)の条件は「国籍法」という法律ですが、ブラジルの国籍取得の法的根拠は、ブラジル憲法にあります。
それが、1988年憲法第12条です。日本では、日本国憲法は第l0条に、「国民たる要件は法律でこれを定める」として国籍法に規定を譲っていますが、ブラジルでは、憲法にその規定をおいています。
2.帰化人に対する職業差別
ブラジルには、生来のブラジル人と帰化したブラジル人の間に差別が存在します。
例えば、ブラジルに帰化した人は大統領及び大統領になりうる公職 (副大統領、下院議長、上院議長、最高裁判事)に就けなません。また、キャリアの外交官(外務大臣を含む)、国軍の将校 (防衛大臣を含む)にもなれませんが、その他の職については自由につけます。
3、ブラジル国籍となるのはどのような場合か
ブラジルでは国籍取得については「生地主義」をとっており、国外で出生した子については「血統主義」を補足的に適用しています。
つまり、両親が外国人であっても、ブラジル国内で出生した者、父母のいずれかがブラジル国籍を有する者であって、外国で出生した者についてはブラジル国籍を取得します。
4、ブラジルの帰化の条件
帰化の条件は、一定の年月の居住、犯罪歴がないこと等ですが、ブラジルにおいて最高学府を卒業していたり、15年以上居住している者は条件が緩和されます。ポルトガル語圏の国から来た者については、更なる緩和条件があります。
2003年憲法補足法は、外国に帰化したブラジル人の国籍喪失を認めず、生地主義国において出生したブラジル人と同様に重国籍を認めることになっっています。
そして、国外で出生したブラジル人の子が血統主義によってブラジル国籍を取得した場合、これまでは一旦帰国して、手続きを行わなければならなかったが、最近一切の手続きが免除されています。
5.ブラジル国籍からの離脱
ブラジル国籍の離脱は困難ではあるが、不可能ではありません。
ブラジルで出生した日本人の子が「生地主義」によりブラジル国籍を取得し、総領事館への届出により日本国籍を留保したが、帰国した後に二重国籍を認めない外務公務員採用試験に合格したことからブラジル国籍を離脱した事例があります。
この事例では、一旦日本国籍を離脱し、その後帰化申請して認可された場合、ブラジル国法務大臣に、自己の意思で外国国籍を取得したことを届け出ることによって、離脱することができています。
ただし、連邦官報に離脱が認められた旨掲載されるまで、約6か月かかっています。
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